ぐるなび会長の滝さん講演〜SKY→RAIN→UMBRELLAを切り口として〜

東工大MOTの講義で「経営者論セミナー」というものがある。これは人数的な事情から技術経営の人しか受けれない生きていく、経営者を志す人にとってかなり面白い講義である。半旗で5人の経営者の方が講演に来てくださることも勿論すごいことなのだが、それを社会人の方と社長の価値観や見方をディスカッションできるという点に個人的には面白みを感じる。なぜならば、グループワークの際に、下は22歳(←自分はココ)から上は50歳代の方まで同じ土俵で議論ができる。質問の方法や見ている切り口などが非常に参考になる。

前回は、ぐるなびの滝さんの講演であった。講演後には、講演を聞いて得たことなどを1000文字程度のレポートで提出しなければならないのだが、ジャブとしてこのエントリでは感想を書きたいかと。

最近、特に意識しているのが、「起こったこと」と「思ったこと」と「それに対する行動」と言う流れである。言われてみれば当たり前のことなのだが、起こった事実と思った空想は切り離して考えなくてはならない。東大の企業戦略論で言っていたのだが、この事をコンサルタントは「空雨傘」と呼ぶとのこと。例えば、

  • [situation(事実)]空が青い
  • [implication(予想)]雨は降らないだろう
  • [action(行動)]だから傘は家に置いておこう

事実として、朝起きたら空がめちゃくちゃ晴れていたから、自分は雨が降らないだろうと思った。だから出かけるときは傘を持っていかなくても大丈夫!と、ある一つの事実から予想を立てて行動に移すことができる。この例からすると、「今日は天気だ」という事実から、その人なりに様々な予想が立てられて、例えば、暑いから帽子をかぶろう、だとか、薄着にしよう、だとか、外に出ないようにしようだとか、様々なインプリケーションが得られることとなる。

だから何?と言われそうだが、ここで自分が言いたいことは、一つの事実から多くのimplicationを見つけられる人は得をするのではないかと言うことだ。なぜならば、事実から得られた選択肢を評価できるからである。一つしかimplicationが得られなかった人は、その一つしか選べない。逆に2つや3つ得られた人は、その中からベストな選択肢を選ぶことが可能となる。もちろん、選んだものがかぶってしまうかもしれないが、確率としては選択肢を多く持つことがより良い選択を可能とさせていると言える。

「空雨傘」でずいぶんと語ってしまったが、ここで滝さんの講演内容に戻る。

この講演で自分が最も強く感じたことは「未来構想力」に尽きる。滝会長はインターネットが普及する前から、将来はICTが必ず来る!だから、ITに投資するんだ。として年5億円を10年程度の期間、ITに投資し続けた。実際にその10年間は良い結果は現れなかったそうだが、その時のノウハウやら経験やらをうまく利用して回線自由化となったすぐ直後にぐるなびを立ち上げ、成長させていった経歴を持っている。

ここでの滝会長にとっての「空」がなんであるかは分からないが、その「空」を見つけてからの「雨」の構想力が物凄いんだなと感じた。本当にITの時代が来るのか、来るにしてもいつどのようにしてやって来るのかなど、不確実要素は満載だったはずなのに、未来を構想して「傘」である毎年何億もの投資を行い続け、結果として誰もが使うぐるなびを作り上げていった。この講演では、「未来構想力」が企業家には最も大事であると言う点と、自分が考えている「空雨傘」が一致して、なんだか社会やら起業やら事業やらが面白くなり始めた。

電車の中で、歩きながら、サッカーしながら考えていたが、そういった構想する力ってのが、ビジネス上では物凄く重要なんだな、構想だけではなく「傘」という行動も忘れてはいけないんだなと改めて実感した今回の講演でした。

あと、経営者は理念が重要であるということや、貢献心は人間の本能であるとか、信念という幹がぶれないということ、人が好きなんだなと思ったが、今回のエントリでは割愛させていただく。


動き出そう。